レーシックのテーマです
一九○三年、アルサスはウサギの皮層に繰り返しウマ血清を注射すると、その個所は赤くなり、潰傷を生ずることを発見し、「アルサス現象」と呼ばれた。
以上のように生体が本来持っていない物質を投与されると、あるときは有益な現象を呈し、あるときは有害な現象を誘導する。
前者が「免疫」であり、後者が「過敏症」である。
両者が同時に見られることもしばしばある。
すなわち、病原体に過敏性を示すとともに、その病原体による疫病にかかりにくい場合である。
本来、生体が持っておらず、生体が投与されるとそれと反応する物質(抗体)を作りうる物質を抗原(アンチゲン)というが、これに対しフォンピルケーは過敏症を生ずる物質をアレルゲンと呼んだ。
このアレルゲンの中には明らかに抗体を作りうる抗原や異種血清が含まれる以外に、アレルギーを起こす力やハチの毒、イチゴやカ二のような食物、枯草熱(現在の花粉症)を起こす花粉、その他それに対し異常体質を生ぜしめる物質等も含まれるとした。
抗原は生体に抗体を作りうる能力を有し、またその抗体とぴったりと結合することのできる物質である。
抗原は多くの場合、タンパクあるいは糖タンパクであるが、脂肪や多糖体(炭水化物)のこともある。
一方、抗体は抗原が生体に入ることによって作られ、抗原とぴったり結合しうるタンパク質である。
抗原と抗体との関係は鍵と鍵穴にたとえられるように、その結合力はたいへん強く、このようにC・F氏は過敏症を説明するために、アレルギーという言葉を造ったのであるが、その当時はどういうメカニズムで一方は免疫になり、他方はアレルギーになるかが説明できなかった。
しかしその後、抗体を作る作用がないと思われていた花粉や食物アレルゲンも、アトピーの項で述べるように皮膚感作抗体という抗体が作られることが明らかになった。
そこで現在では、アレルギーは「抗原と抗体との反応のうち病的なもの」を指すことにしている。
抗原と反応するものは血清中に存在する液性抗体だけでなく、以前、異物と接したことのある生体中のリンパ球もそうである。
このリンパ球と抗原との反応もアレルギーに入れる。
また「免疫する」という言葉は、異物を注射して抗体を作らせる意味に用いられている。
一度結合すると容易に離れない。
この抗原と抗体との結合を「抗原抗体反応」といっている。
アレルゲンはアレルギーに関与する抗原で、鼻や口から吸入される吸入性アレルゲン、食物中に含まれる食餌性アレルゲン、薬剤に関係する薬剤性アレルゲン、職業に関係する職業性アレルゲンがある。
抗体には、液性抗体と細胞性抗体がある。
採血後、血液を試験管に入れ室温で一〜二時間放置すると、線維素の作用で固まり、これを遠心分離器にかけると、液性部分(血清という)と赤血球、白血球など細胞部分とに分けることができる。
採血後、血液の固まるのを防ぐ薬品(抗凝固薬)を血液に入れて、すぐ遠心分離器にかけても液性部分(この場合、血莱という)と細胞部分に分けることができる。
さらに細胞部分は最上層の白い部分と下層の赤い部分に分かれる。
白い部分は白血球の集まりで、赤い部分は赤血球の集まりである。
液性抗体は血清あるいは血莱中に存在し、細胞性抗体は細胞部分のリンパ球に存在する。
このリンパ球は白血球の一種である。
血清に電流を通すと、血清中に溶けている成分は、それぞれの電気的性質により陽極側、陰極側流れ、ある程度分離することができ、陽極側からアルブミン、アルファ(α)グロブリン、ベー(β)グロブリン、ガンマ(γ)グロブリンとに分けられる。
液性抗体はこの中のγグロブリンあり、γグロブリンはすべてなんらかの抗体であると考えられているので、免疫グロブリンとも正常人の血清一○○中には約七gのタンパク質があり、その一○〜二○%が免疫グロブリンである。
免疫グロブリンは免疫グロブリンG(IGGと略)、免疫グロブリンA(IGAと略)、免疫グロブリンM(IGMと略)、免疫グロブリン,(IGDと略)、免疫グロブリンE(IGEと略)の五種類がある。
この中で最も多いのはIGG、最も少ないのはIGEで、正常ではIGGの約五万分の一の量である。
IGEはC大学教授(当時)のI・K博士(のちに文化勲章受賞)により、アメリカのブタクサ花粉症患者の血清中から発見され、一九六六年に発表された免疫グロブリンである。
IGEは粘膜壁や皮膚に多い肥満細胞表面と、血液中の好塩基球(白血球の一種)表面とに存在するIGE受容体に強く結合する性質があり、これら細胞と結合したIGEがアレルゲンに対する抗体の作用を持っていると、同じアレルゲンと反応した場合、肥満細胞や好塩基球からさまざまな化学物質が出てきてアレルギー症状を起こす。
この化学物質を化学伝達物質(ケミカル・メディエーター)といっている。
IGEは、アナフィラキシー、花粉症、アトピー性気管支瑞息、毒麻疹(一部)など即時型アレルギーといわれるアレルギー疾患の症状出現に重要な役割を果たしている免疫グロブリンである。
アレルゲンと反応しうるIGE、すなわちIGE抗体は発見される前はレアギンと呼ばれていた。
一九一二年、ドイツの細菌学者P氏は、彼のところに研究に来ていたK氏がサカナのタラを食べるとまもなく下痢を起こし、引き続き毒麻疹、瑞息を起こすことを知った。
そしてタラの魚肉抽出液室キスをK氏の腕の皮内に注射すると、一五〜二○分後に最高に達する膨疹(皮膚の盛り上がり)と、そのまわりの紅斑(赤み)を生じた。
タラを食べても症状のないP氏はタラエキスを注射しても反応は起きなかった。
そこでK氏の血清をP氏自身と無症状の他の同僚の腕の皮内に注射し、翌日タラのエキスを同じ個所に注射したところ、一五〜二○分後に最高に達する膨疹と周囲の紅斑が見られた。
これはK氏の皮層に直接タラエキスを注射したときと同様の反応であった。
すなわちアレルギー患者の血清中に、健康人の皮層に結合し、アレルゲンと反応すると皮層に毒麻疹様の症状を起こす抗体が存在することが判明したのである。
この抗体を皮膚感作抗体(またはレアギン)と名付けた。
この抗体はその当時、知られていた他の抗原抗体検査では検出されず、唯一このプラウスニッツ・キュストナー反応によってのみ検出されたが、一九六六年になって日本のI博士により未知の免疫グロブリンIGEに属することが判明したことは先に述べた。
I博士はブタクサ花粉症患者血清中のレァギンを精製してウサギに注射したところ、レアギンと反応し、レアギン作用を失わせる抗体を作ることができた。
しかし抗IGG、抗IGA、抗IGM、抗IGDでは、そのようなことはなかった。
そこで同年、レアギン作用を持つ免疫グロブリンをこれまでに報告されていないグロブリン、として報告したのである。
免疫グロブリンを作る細胞は形質細胞(リンパ球の一種、B細胞が成熟した細胞)であるが、骨髄腫は形質細胞の癌である。
骨髄瞳一個の形質細胞の異常増殖から始まるので、均一な性質を持つ免疫グロブリンを大量に作り出す。
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